人気の国産フルートメーカー

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ヤマハ(YAMAHA)


創業は1897年、山葉寅楠が静岡県の浜松に国産初ピアノ製造販売を開始。そしてフルートを含む管楽器製造ラインが完成したのが1965年のことです。

私は1960年生まれなので私よりも若いですね。これは意外でした。

 

 

YAMAHAの特徴は(これは全ての製品にいえることですが)、ハズレがないということに尽きます。いわゆるザ・メイドインジャパンなのです。大企業ならではの品質管理が徹底しているので、粗悪な固体が市場に流出することがありません。

 

そのかわりとして、個性のある製品もないといえます。つまり、偶然できた傑作がない。世に「名器」と呼ばれる物がYAMAHAの企業体質からは生まれないのです。

ただ、これは一般の人にはあまり関係ない話なので気にしなくていいことでしょう。

 

 

フルートに関しては大きく3つのグレードがあります。

 

スタンダード 初心者やビギナーにとって最も演奏しやすい形を追求したシリーズ。今やフルート初心者御用達となっています。価格は9万円〜18万円。
プロフェッショナル ハンドメイドモデルの音色を一般のユーザーにも提供するのがこのプロフェッショナル・シリーズ。一部のラインを機械化することでプライスダウンされています。価格は30万円〜50万円。
ハンドメイド 世界の名フルーティストの協力を得て、彼らの意に従順に反応するフルートをヤマハ選り抜きのクラフトマンによって1本1本丁寧に作られています。価格は90万〜600万円。

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パール


ドラムとフルートに特化した日本の大手楽器メーカー。創業は1946年(第2次大戦終結の翌年)東京墨田区で、会社として発足したのは1952年のこと。今は千葉県八千代市に本社工場があります。

フルートの製造販売は1968年からなので、YAMAHAとほぼ同時期です。パールといえばドラムでして、世界で初めてファイバー製のシェル(従来は木製)を開発して一躍有名になりました。

アメリカにPearl.comというホームページがあるのでパールのことをアメリカの会社だと誤解している人がいますが、これはアメリカにある子会社です。

 

 

パールフルートの特徴は、とにかくラインナップが豊富なことです。グレードの多さに加えて他のフルートメーカーが手がけない特殊なフルート(アルトやバス)も製造販売しています。当初はビギナー向けの格安モデルをメインに販売していましたが、YAMAHAのセールス・マーケティングに市場を奪われてしまったため、今では上級者向けのモデルに主軸を方向転換しています。

 

 

初級〜中級クラスだけをとれば、YAMAHAや他のメーカーの同グレードよりも重厚で管体の響きをより感じます。数あるフルートメーカーの中では少しマイナーな印象がありますが、実際に吹いてみると老舗なりの性能を発揮します。ただ、一般的にはパールは音量が足りないと言われています。オーケストラや吹奏楽でパールが使われない理由はそこです。

優しい音色ですのでフルート独奏や家での練習には最適だと思います。

 

 

プレスト 低価格を追求したモデル。8万円前後。
ブリランテ 初心者でも吹きやすいモデル。10万円前後
ドルチェ リーズナブルな価格で重厚な音色。20万円前後。
エレガンテ 気軽にアンサンブルが楽しめるモデル。30万〜40万円。
カンタービレ ハンドメイドの技術を一部機械化したラインに継承したモデル。40万〜60万円。
マエスタ アーティストの希望に応えるハンドメイドモデル。総銀製60万〜総金製400万円。
オペラ ハンドメイドの頂点。純金製100万〜650万円。総銀製100万〜160万円。

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ムラマツ


日本で初めてフルートという楽器を製造販売したのがこのムラマツフルートの創業者、村松孝一です。1923年のことでした。

 

一般の人はムラマツを知りませんが、フルートを吹いていてムラマツを知らないのは完全なモグリです。いつかはムラマツと誰もが思っている?そんなふうにも思えるフルートであります。とかくこの日本国内ではその地位は不動のものであり、フルート教室の先生の9割がたはムラマツなのではないでしょうか。

 

 

その音色には深みがあり、特筆すべきは音量です。オーケストラやブラスバンドで他の楽器に音が消されることなく、確かなフルートの存在感を出せるといいます。

楽器の作りが特殊なためにメンテナンスが大変な面があります。サービスエリアは首都圏にしかないので、専門スタッフによる修理が必要になったときは時間がかかります。

 

EXモデル 頭部管が銀製で、その他は洋銀製。価格は25万円前後。
GXモデル 頭部管と管体が銀製で、キーなどは洋銀製。価格は40万円前後。
DSモデル 総銀製(トーンホールはドローン方式)。価格は60万〜70万円。
SRモデル 総銀製(トーンホールはソルダード方式)。価格は90万〜100万円。
総金製モデル 9K〜24Kがある。価格は250万〜1200万円。
プラチナモデル 価格は700万〜1000万円。

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もちろんムラマツは海外でも定評がありますが、日本国内のような圧倒的なブランドではないようです。一時期ジェームズ・ゴールウェイも使っていましたが、その理由は単に他のメーカーよりもサービス体制が充実していたからだったそうです。今ではムラマツを凌駕するハンドメイドメーカーであるナガハラを愛用しています。

三響(サンキョウ)


1968年、7人の楽器職人によって三響フルート製作所は設立されました。経営者自身が技術者という意味ではムラマツと同じ土壌で会社は育ち、フルートは生まれてきているわけです。

YAMAHA、パール、そしてこの三響。ほとんど同時期にフルート製造販売を開始しているのは高度経済成長により日本の景気が急速に良くなったことを物語っているのでしょう。

 

 

三響フルートにもムラマツ同様に熱烈な支持者がいます。この2つのメーカーは特徴が相反することで知られ、ムラマツが深みのある音が容易にだせるのに対して三響はとっつきにくいけれどコツがわかればきらびやかな音がでるとされます。

いわゆる「アンチ・ムラマツ」には三響ファンが多いように思います。

 

エチュード 頭部管が銀、管体が洋銀のエントリーモデル。価格は23万円。
シルバーソニック 銀製、キーメカニズムだけが洋銀。価格は35万円。
アーティスト 総銀製の売れ線モデル。価格は51万円。
DT 総銀製のハンドメイドモデル(トーンホールはドローン方式)。価格は60万円。
ST 総銀製のハンドメイドモデル(トーンホールはソルダード方式)。価格は73万円。
ピュアシルバー 特殊な銀(強化銀)のハンドメイドモデル(トーンホールはソルダード方式)。価格は100万円。

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アルタス


アルタスフルート(Altus)は1981年、フルート奏者でもある田中修一氏によって長野県安曇野で産声をあげました。その一番の売りは、なんといっても楽器が頑丈であることです。フルートという楽器はキーメカニズムの全てが小さく、特にバネやパイプの各部品はとても繊細です。それを独自の技術よって丈夫で長持ちするように作られています。

アルタスは台湾メーカーであるジュピターに買収されましたが、ブランドとしてのアルタスはそのまま存在しています。

 

 

音量についてはパール同様で大ホールやオーケストラ向きではなく、どちらかといえば小ホールでの独奏が得意とされます。音色に芯がしっかりあるのでアンサンブルにも使えそうです。

 

スタンダードモデル

管体は白銅製でリッププレートが銀製。価格は16万円。
頭部管が銀製、管体は白銅製。価格は20万円。
頭部管、管体が銀製。キーメカが白銅製。価格は30〜40万円。

ハンドメイドモデル

総銀製(ドローントーンホール)。価格は50万円。
総銀製(ソルダードトーンホール)。価格は70万〜120万円。

ゴールドモデル

管体が金製(ドローントーンホール)。価格は200万円。
管体が金製(ソルダードトーンホール)。価格は250万円。

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ミヤザワ


創業は1969年、宮澤フルート製造株式会社の設立は1972年です。現在でも従業員数は40名弱ですので、少数精鋭のハンドメイド気質がうかがえます。

 

フルートの特徴はなんといっても革新的なメカニズムです。特にキーのメカニズムに関してはノックピンを排除したシンプルかつ堅牢な作り(ブローガーシステム)が売りとなっています。また、キーカップにも独自技法をこらし、一体型鋳造によって演奏者好みの感触を提供できるようになっています。

その半面、装飾的なデザインがなさすぎて日本人には興味をもたれない傾向にあります。

 

 

音量があって音色が明るいのでアメリカでは好評らしいですが、一方で深みとかしぶさを好む日本人にはあまり受けないようです。

 

 

エントリーモデル

リップのみが銀製  価格は15万円
頭部管が銀製    価格は20万〜50万円

総銀ハンドメイド 価格は60万〜80万円
金製ハンドメイド 価格は140万〜600万円

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桜井(サクライ)


桜井フルート制作所の設立は1959年ですので、現存する日本のフルートメーカーとしてはムラマツに次ぐ歴史あるメーカーです。他社では扱わない材料でフルートを作ることで知られ、パーツの一部(トーンホール)にワシントン条約で輸出入が制限されている象牙を使ったモデルもあります。

創業者の桜井幸一郎氏はムラマツから独立したタネフルート(今は廃業)から独立しました。今でもわずか数人(親族)でハンドメイドフルートを作っています。

 

 

サクライのフルートはほとんどオーダーメイドですので、店頭にあった1本をそのまま買ってしまうのはリクスがあります。必ず試奏をして自分の好みに合うかどうかを確認しましょう。

 

 

GS 頭部管が銀、管体は洋銀。価格は30万円。
SS 銀製(一部が洋銀)。 価格は45万~65万円。
SP 総銀製。価格は80万円。
ゴールドモデル 金製。価格は150万〜300万円。
木製フルート 黒檀。価格は100万円〜150万円。

管体が洋銀でハンドメイド(GSモデル)というのはこのサクライフルートだけかもしれません。また、トーンホールが洋銀なのにソルダード方式というのも希少価値があります。

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