フルートのリングキーが登場した背景とは
現在フルートのキータイプは2種類あり、初心者はカバードキーで中級レベル以上になるとリングキーといった印象があります。しかし、本来リングキーはハイレベルなフルート演奏をするために開発されたものではありません。
18世紀以前の古典音楽で使用されていたフルートは今のリコーダーのような小さいトーンホールだったので、それ相応の音量しか出せませんでした。その常識を一変させたのが現代フルートの生みの親テオバルト・ベーム(1794〜1881)でして、カバードキーシステムを胴部管にも搭載することでトーンホールを大きくすることに成功したのでした。
このカバードキーというメカニズムはベームが発明したものではなく、足部管のキーを押さえるために従来からあったものです。
その後ベーム式フルートはヨーロッパ全土に広がり、もちろん芸術の中心地フランスでも主流となっていきました。そんな中フランスのフルートメーカーが考案したのがリングキーのフルートで、古典的なフルートのようにトーンホールの押さえかげんを指先で調整したいという要望に応えるためでした。
以後、カバードキーはジャーマンモデル、そしてリングキーはフレンチモデルと呼ばれるようになりました。
というわけでリングキーのフルートが活躍するのは、指先で微妙に音孔を開いたり閉じたりして音色のコントロールをする演奏においてだけです。そういった特殊な演奏をしないかぎりカバードキーとリングキーの音の違いは実際ありません。
みなさん、フルートが上手くなるとリングキーを持つのは見栄だというのがホンネのようです。ただ、リングキーを使うと指使いが矯正されるというメリットはたしかにあります。
リングキーが登場した背景関連ページ
- フルートの構造と種類
- 笛という楽器の原点は、草笛みたいな自然にあるものだったはずです。それが進化して現代に至り、最先端がこのカバードキーのシステムを持ったフルートです。
- フルートの材質と価格
- 入門用としてのフルートは白銅製が一般的です。安い中国製が新品で3万円前後からあるので、今では気軽にフルートを始められるようになりました。
- ドローンかソルダードか
- ソルダード方式のフルートはハンドメイドですので製作に時間がかかるため高額になります。音色に響きと重厚さがあるので今やほとんどの上級者やプロが使用しています。
- 初心者向きのフルート
- 日本のメーカーで庶民的なのは、やはりYAMAHA。といっても最低6万円はしますので、他の楽器と比べるとフルートは非常に高価な楽器です。
- フルートメーカー(国産)
- 日本を誇るフルートメーカーを紹介します。今や日本のフルートは世界のアーティストが愛用し、賞賛されるものになっています。
- フルートメーカー(海外)
- 外国産のフルートを紹介します。本家ヨーロッパよりもアメリカ製が優秀なのは意外なことです。
- フルートの比較とクチコミ
- フルートって実は木管楽器なんですね。その理由や、数種類あるフルートから自分に合うのはどれかを指南いたします。